コラム

【コラム】“まちづくり”って面白い! <第4回>デジタル技術と豊かな人生、そして“まちづくり”

 

昨年11月、「世界最高年齢のプログラマー」として知られる87歳のデジタルクリエイター・若宮正子さんの講演会に参加しました。開会までの間、会場内にいらしたある女性とお話ししたところ、その方も80歳を超えているそうですが、パソコンやスマートフォンを自由に使いこなし、それによってストレスのない豊かで生きやすい人生を謳歌しているとのことでした。お話を伺って大いに驚くとともに、自分の発想を転換する貴重なきっかけをいただいた思いでした。

 

近年、自治体や国の行政のデジタル化、いわゆる行政DX(デジタルトランスフォーメーション)が重要なテーマになっていますが、その具体化にあたっては、情報格差(デジタル・ディバイド)への配慮が必要です。三鷹市ではこれまでも、デジタルでのサービスにはできるだけアナログを併用したり、活用のための講習会を開催するなど、様々な配慮に努めてきました。
また、高齢者の方々によるIT分野の地域活動のさきがけとして知られるNPO法人シニアSOHO普及サロン・三鷹の取り組みをはじめ、コロナ禍の中で市民サポーターの参画を得て実施してきた「地域コミュニティ向けICT講座」など、市民主体や市との協働によるICT普及の取り組みも数多く行われてきました。
今回の学びと出会いを通して、それらをさらにもう一歩進め、苦手意識のある方にチャレンジ精神をもってデジタル機器に接していただけるような機運そのものを醸成していくことが大切なのだという思いを強くしました。

 

近年、高齢者のみや一人暮らしの高齢者世帯が多くなっていますが、福祉を所管する部署からの報告や三鷹警察署からのお話では、市内でも孤独死の増加が目立ってきています。こうした現状を踏まえると、これからのまちづくりは、かつて家族が担っていた機能を社会化していく、言い換えれば地域の中で家族や個人を支える仕組みを創っていくことが必要になります。
この役割を自治体やNPOなどが担うのはもちろんですが、そのための手段としてデジタル技術を活用することは、介護人財の不足を補う上でも必須になると思います。そしてその効果をより大きなものにしていくためには、サービスを利用される方々にもデジタル技術に慣れ親しんでいただくことが大切になってきます。

 

もちろん、こうしたことは決して強制すべきものではなりません。しかし、市民の皆さんの豊かな人生への可能性が少しでも広がるのであれば、一人でも多くの方にデジタルの世界に挑戦してみようという気持ちになっていただけるような環境をまちの中に創っていくのは有意義なことです。そのために具体的にどのような施策を推進していくのが望ましいのかを、専門家の皆さんやこれまでに実践を担われてきた皆さんとともに、真剣に考えていきたいと思います。

河村孝後援会の新しいリーフレットができました
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